第62回オークス回顧
普段ならレース回顧などやらないのだが、今日は気分がいいのでやってしまう。こんなこと、前にも言ってました...
今回のオークスのポイント、それはテイエムオーシャンにあった。圧倒的な強さで、阪神2歳、桜花賞を連覇。このオークスでも、断然の1番人気。同調教師は「牝馬には負けない」と言っていた。これは今回も負けないという自信の表れだろう。確かに、テイエムオーシャンの強さは、同年代の牝馬の中では抜けていることは事実だろう。テイエムオーシャン自身はね...今年のJRAのキャッチコピーにもなっている「ジョッキー」という要素を併せた場合でも、果たしてテイエムオーシャンで絶対なのか...?
阪神2歳牝馬S、チューリップ賞、そして桜花賞。テイエムオーシャンのレース運びは、いつも変わらない。自身の気性か、レースのペースか、とにかく掛かってしまう。バックストレッチでポジションを上げ、3角でマクリ、4角では先頭。直線はそのまま走り切り、なおも後続をチギってしまう。圧倒的な強さとはこのことで、まさに次元が違うといった言葉がピッタリである。では、鞍上の本田クンは何をやっているか。掛かったら抑え(でも抑えられない)、直線向いたら鞭入れるだけ。要はつかまっているだけ。落ちなければ勝ちなのだから。それほど、今年の牝馬の中では、抜けた力があったということです。多少掛かっても、勝ってしまうほど強い。言い換えれば、そのスキをつけない、それほど他馬が弱い、と。アホな予想屋どもは、これをテイエムオーシャンの持ち味などと称していましたが、そりゃ違うでしょ。鞍上が馬を御してないだけ。これに尽きると思います。
本田騎手の騎乗に疑問を持ち出したのは、チューリップ賞のとき。阪神2歳で見せた、テイエムオーシャンの掛かり癖への対策がまったく見られなかった。本番の桜花賞を万全の体制で望むには、このチューリップ賞で弱点を克服するか、悪い言い方だけど、策を試してみることが必要なはず。なのに、まるで阪神2歳のレースを見ているように、テイエムオーシャン任せのレース運びとなった。続く、桜花賞でもまったく同じ。これでは、「つかまっているだけ」と言われても仕方がないと思うんだけどね。ただ、これらレースを圧勝してしまったので、騎乗云々、というハナシは出なかっただけ。何の工夫もない騎乗、仁川のマイルでは通用しても、府中の2400で通用するかな...
やはり、1流と言われるジョッキーは違うなぁ、というのが、オークスが終わっての感想。もちろん、勝ったデザーモ騎手のことを言っているのだけど...やや出遅れ気味だったが、そのまま内に進路をとり、距離のロスを防ぐ。最近では、フサイチコンコルドで藤田が見せた騎乗法。オークスを何度も勝った嶋田騎手の、府中の2400のお手本のような騎乗法である。その後、馬込みの中に入れ、直線半ばまで追いだしを我慢し、先に抜けたローズバドを目標にして最後でかわす。すべての動作が、これ以上ないタイミングで行われている。前走にてオイワケヒカリに先着を許したものの、確かな手応えを掴み、それを忠実に再現しただけであろうが。横山典も善戦したと思う。前走のフローラSでは、追い込んだものの、3着。完全に脚を余していた。これを教訓とし、若干早いスパート。ローズバドの持ち味を考えれば「もう少し脚をためても」とか思ってしまうのだが、これは責められないと思う。前回のように脚を余すよりは、本人も買った人も納得できる内容であろう。今回は運が悪かっただけだ。現在は調教師の田原が現役時代に言っていたことを思い出す。「仕掛け」とは一瞬のことで、そこで「行ける」か「行けない」かで、レースが決まってしまう。実力の抜けた馬に乗っているのなら別だけど、横一線の場合、本当に一瞬の判断が明暗を分けるものだ。
で、本田クンのハナシになってしまうが、やっぱり「只、乗っているだけ」なんですよね、今回も。ここが、1流と2流の違いなのでしょうか。確かに、ミスもしていなければ、不利もかぶっていない。忠実に馬なりに走らせた結果が3着。デザーモ、横典の好騎乗がなければ、勝っていたかもしれません。騎手というもの、強い馬に巡り会えてこそ、成長するものだと思います。中には、そのチャンスに恵まれず、引退してゆく者も多いと聞きます。でも、そのチャンスに恵まれても、成長しない者もいるってことですね。そうならないためにも、このキャッチフレーズを捧げます。「走るのは馬でしょ。」「走らすのは人や。」