99クラシックロード −牝馬編−
99年のクラシックホースを見つけてみよう、というコーナーです。4歳オープン戦の1〜5着を列挙しています。混合レースにて、牝馬が勝った場合は、こちらにも掲載されます。でももちろん、オンリー・ジャスト・ウーマン!
牡馬編はこちら。
本データの Palm/Pilot版も用意しています。こちらで入手できます。
レース名 | G | 優勝馬 | 性 | 騎手 | 開催日 | 馬場 | 距離 | 2着馬 | 3着馬 | 4着馬 | 5着馬 |
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阪神3歳牝馬S | 1 | スティンガー | 牝 | 横山典 | 12.06 | 阪稍 | 1600 | エイシンレマーズ | ゴッドインチーフ | スタートマーチ | ケイズエンジェル |
フェアリーS | 3 | タヤスブルーム | 牝 | 蛯名正 | 12.25 | 中良 | 1200 | エイシンルーデンス | ステファニーチャン | レインボーザリンド | ゲイリーアジュール |
フローラS | O | ステファニーチャン | 牝 | 田中勝 | 1.10 | 中良 | 1200 | ファイナルキス | ビューティグロー | メジロビクトリア | レインボーザリンド |
シンザン記念 | 3 | フサイチエアデール | 牝 | 武豊 | 1.17 | 京良 | 1600 | マルシゲファイター | ケイアイジョン | マチカネテルテル | タイクラッシャー |
紅梅S | O | エイシンルーデンス | 牝 | 野元 | 1.23 | 京良 | 1400 | ヒシピナクル | エイシンレマーズ | ガーデンコート | オースミリンド |
エルフィンS | O | ゴッドインチーフ | 牝 | 河内 | 2.14 | 京良 | 1600 | タイキポーラ | タヤスブルーム | レディジョーカー | アランダ |
クイーンC | 3 | ウメノファイバー | 牝 | 蛯名正 | 2.21 | 東良 | 1600 | レッドチリペッパー | ゴールドティアラ | ビューティグロー | プリマダンサー |
チューリップ賞 | 3 | エイシンルーデンス | 牝 | 野元 | 3.6 | 阪良 | 1600 | ゴッドインチーフ | スタートマーチ | プリモディーネ | ゴールデンベル |
報知杯4歳牝特 | 2 | フサイチエアデール | 牝 | 武豊 | 3.14 | 阪良 | 1400 | ステファニーチャン | フォルナリーナ | エフテービルサド | メジロビクトリア |
フラワーC | 3 | サヤカ | 牝外 | 柴田善 | 3.20 | 中不 | 1800 | レッドチリペッパー | テンシノウタ | アグネスライナー | ミズサワノギャル |
アネモネS | O | ハギノスプレンダー | 牝 | 熊沢 | 3.20 | 阪重 | 1400 | クリムゾンクローバ | トゥザヴィクトリー | タガノブルードレス | スターバイオレット |
クリスタルC | 3 | タイキダイヤ | 牝外 | 小野 | 4.4 | 中良 | 1200 | エターナルビート | タイキトレジャー | イカルスドリーム | ゴールドティアラ |
忘れな草賞 | O | エフテービルサド | 牝 | 岡部 | 4.11 | 阪良 | 2000 | トウカイティアラ | エイシンワンシャン | コウヨウヒロイン | タイレスポール |
桜花賞 | 1 | プリモディーネ | 牝 | 福永 | 4.11 | 阪良 | 1600 | フサイチエアデール | トゥザヴィクトリー | ゴッドインチーフ | ハギノスプレンダー |
サンスポ賞4歳牝特 | 2 | スティンガー | 牝 | 岡部 | 5.1 | 東良 | 2000 | フサイチエアデール | クロックワーク | コウヨウヒロイン | エイシンルーデンス |
スイートピーS | O | フレンドリーエース | 牝 | 柴田未 | 5.9 | 東良 | 1800 | サクラセレブレイト | メジロビクトリア | ステファニーチャン | アランダ |
葵S | O | クールネージュ | 牝外 | 松永幹 | 5.16 | 京良 | 1200 | スリーサンナイナー | エイシンレマーズ | イカルスドリーム | マンリーパースン |
カーネーションC | O | サヤカ | 牝外 | 柴田善 | 5.30 | 東良 | 1800 | トウカイティアラ | スマイリングアワー | レイサッシュ | マティーニ |
オークス | 1 | ウメノファイバー | 牝 | 蛯名正 | 5.30 | 東良 | 2400 | トゥザヴィクトリー | プリモディーネ | スティンガー | フサイチエアデール |
ローズS | 2 | ヒシピナクル | 牝外 | 河内 | 9.26 | 京良 | 2000 | フサイチエアデール | ブゼンキャンドル | トゥザヴィクトリー | ハギノスプレンダー |
クイーンS | 3 | エアザイオン | 牝 | 岡部 | 10.3 | 中良 | 1800 | マイネレジーナ | クロックワーク | コウヨウヒロイン | フレンドリーエース |
秋華賞 | 1 | ブゼンキャンドル | 牝 | 安田康 | 10.24 | 京良 | 2000 | クロックワーク | ヒシピナクル | ウメノファイバー | フサイチエアデール |
スティンガーの圧勝で幕を開けた(*1) 99クラシックロード。未完成ながらも、圧勝劇を演じた同馬は、一躍クラシック候補となった。「3冠間違いなし」を叫ぶ、アホな予想屋(*2) も出現した。しかし、終わってみれば、3冠どころか無冠。この影響か否か、3レースとも波乱であった...
今シーズンは、「人気」というものに踊らされていたように思える。前出のスティンガー、そしてトゥザヴイクトリー。これらに共通するのは、「大物感」「未知の魅力」「将来性」。そしてそれらが、競馬に直接結びつかないことを、イヤというほど思いしらされた。例を見ないローテーションをとったにもかかわらず桜花賞1番人気となったスティンガー、重賞未勝利にもかかわらずオークス、秋華賞1番人気となったトゥザヴイクトリー。それぞれ破れているが、当然の結果だったのだろうか...
春の主役は、スティンガーを筆頭に、ゴッドインチーフ、フサイチエアデール、エイシンルーデンスあたりだった。これに、桜花賞へ滑り込み出走を決めたトゥザヴイクトリーが加わる。プリモディーネは、3歳時に重賞を勝ったにもかかわらず、桜花賞トライアルでの凡走のためか、隠れた存在となってしまった。また、ウメノファイバーは、評判馬のレッドチリペッパーを破り重賞を2勝したにもかかわらず、地味な存在であった。スティンガーやトゥザヴイクトリーの前で、その輝きを失ってしまったのだろうか。
武豊が騎乗したにもかかわらず、いまいち、人気の出なかったのは、フサイチエアデール。シンザン記念では、牡馬相手に完勝しているにもかかわらず、だ。予想屋の見解としては、既に完成されている、で一致していた。「大物感」「未知の魅力」「将来性」は漂わない馬だったのだ。所詮トライアル止まりの馬、という評価だったのだろう。予想欄でも、○や▲は集まるが◎は少なく、また、無印にする予想屋も少なかった。「連軸には最適だが、いまいち魅力のない馬」などと思われていたのかもしれない。
桜花賞は、プリモディーネとフサイチエアデールで決まったが、予想以上の配当であった。実力馬同士で決まった割には... オークスも同様。こちらは、人気先行のトゥザヴイクトリーと、実力の割に人気薄だったウメノファイバーとの組み合わせだったが...
秋になっても、春の勢力図は変わらず、夏の上がり馬の存在も皆無であった。当然、春の主役は、秋の主役となる。だが、主役の1頭、スティンガーはトライアルを使わず、また、秋華賞への出走も辞めてしまう。代わり(?)に出てきたのが、同厩舎のエアザイオン。藤沢氏曰く「スティンガーと比べても遜色はない」の同馬は、トライアルを快勝する。これで秋華賞本番でも人気になるかと思いきや、5番人気。悲しいかな同馬は馬格がなく、馬体重もデビュー以来減り続け、本番でも減っていた。「大物感」「未知の魅力」「将来性」とは縁のない馬だからだろうか。
もう一つのトライアル、ローズSに勝利したのは、ヒシピナクル。900万下を勝ったあと、重賞初出走の同レースにて、トゥザヴイクトリー、フサイチエアデールを退けている。鞍上は「牝馬の河内」、また、同馬の姉は、あの、ヒシアマゾンである。にもかかわらず、秋華賞では2番人気だった。
秋華賞1番人気は、トゥザヴイクトリー。前走、ローズSでは、圧倒的1番人気で、4着。道中での不利等もない、不可解な負け方であった。にもかかわらず、である。スティンガーがいれば分からなかったが、この1番人気というのは、必然だったと思う。つまり、押し出された1番人気ではなく、なるべくしてなった、当然の1番人気だったと。
結果は周知の通りである。ブゼンキャンドルは、トライアルでトゥザヴイクトリーをかわして出走権を得たことが、最後に生きた。2000Mを中心に使われ、夏場に古馬とのレースで揉まれたことが勝因だろうか。そう単純なものではないだろう。クロックワークは、最近の凡走で人気を落としていたが、春のトライアルでは、浅いキャリアながらスティンガーとフサイチエアデールと接戦を演じ、逸材と呼ばれていた。
こうして振り返ってみると、人気というものが、いかに「人の手」によって作られる、危うい情報源であることに気づく。「人の手」というのは、実際に馬券を買う人ではなく、新聞や雑誌の印を付ける人のことである。ある新聞で「この馬はいい」と言えば、それを見た人が、他の人にいいと言う。それを聞いた人が、また、他の人にいいと言う。その繰り返しである。そうやって「人気」は作られてゆくのであろう。なんか、話があさっての方向へ行ってしまったみたいだ...何はともあれ、人気に左右されない、確かな目を養わなければならないことを、今シーズンの牝馬戦線に学んだような気がする。
(*1)クラシックが開幕するのはどの時期かは、人それぞれで違うでしょうが、わたし個人としては、牡馬であれば朝日杯3歳S、牝馬であれば阪神3歳牝馬Sだと考えています。
(*2)TVとかでは「予想家」と呼ばれている人たち。彼らは、自分の予想がハズレようが、恥ずかしさのカケラも見せず、いけしゃあしゃあと次のレースの予想をし、その責任なども一切取らないことから、道ばたで予想しているおっさんとなんら変わりない。というわけで、個人的には彼らのことを「予想屋」と呼んでいる。