「Palm vs CE」、ここに終焉?!
「Mainichi DailyMail」というメールマガジンでのコラムの話。自称モバイル歴10年の方が、今後のPDAはカラー化していくであろうことを書いていた。第一にPDA単体での使用ができるようになった。第二にカラーを前提としたアプリの開発が可能。第三に技術の進歩。これら3点を理由として挙げている。おもしろいと思ったのは、TVやパソコンではカラーが当然でモノクロでは売れない、カラー化されたことでコンテンツやアプリが魅力的なものとなった、などである。さっすがモバイル歴10年!
最近、カシオやコンパックから、カラーのパームサイズCE機が発表された。価格はPDAの相場をかなり超え、電池の寿命を縮め、動作を遅くするという、愚の骨頂を極めた代物だ。しかし、よくよく考えてみると、これが本来のパームサイズCE機ではないかと思ってきた。以前のモノクロパームサイズCE機では中途半端な印象だったが、カラーパームサイズCE機こそが王道、真打ち登場というところだ。
パームサイズCE機といえば、どうしてもPalm/Pilotと比較されてしまう。痛快な動作や電池寿命、使い勝手で勝るPalm/Pilot、カタログスペックで勝るパームサイズCE機。分が悪いのはパームサイズCE機。両者を使い比べれば、勝者は誰の目にも明らかだから。そもそも、なぜ比較されてしまうのか。それは、同じようなカタチ、同じようなオモサ、だから。でも逆に考えれば、共通点はそれくらいしかない。そうなのだ。パームサイズCE機は、Palm/Pilotとは「似て非なるモノ」なのだ。
Palm/Pilotは母艦がいないと、その能力を十分発揮できない。かたや、パームサイズCE機は母艦がいなくても、そこそこ使える、というか十分に使える。そもそもパームサイズCE機は、PCを目指しているのだろう。だからこそ、大容量メモリに多量のアプリを載せ、コンパクトフラッシュを使いデータ交換を可能とし、モデムを内蔵し単独でネットワークに繋がる。アプリが肥大すればメモリを増やし、動作が遅くなればCPUパワーを上げる。ここでは「割り切り」などという言葉は存在しない。まさにPCの世界、そのままではないか。
「CASSIOPEIA E-500」を例にとってみると、65,536色表示のTFTカラー液晶ディスプレイ、ステレオ対応のヘッドフォンジャック、オプションで用意されるデジタルカメラカード、などが目立つ点。正直、うらやましい気がする。痛快な動作や電池寿命を犠牲にするだけで、こんな機能が搭載できるなんて。Palm/Pilotでは、絶対に望めない機能だろうから。普段はMP3プレーヤー、Webもメールも単独で可能。デジカメを使用すればその場でプレビュー、発信などもできる。これらがすべて手のひらで。そう、もはやPDAなどではない。PCなのだ。ただ、そのサイズからPDAとしても使用も可、というだけなのだ。Palm/Pilotとは較べられないし、較べるほうがおかしい。
以前、カラーザウルスを持っている友人に、わがPilotを見せたとき「なぁんだ、カラーじゃないんだ。」と言われたことがあった。このとき、恥ずかしながら、反論できなかったのを覚えている。電池寿命うんぬん、を持ち出すことをためらったからだ。「電池なんか2ヶ月近く持つんだぜ、うらやましいだろう」と言ったところで「何それ」と返されるのがオチだと思ったのだ。つまり、その友人は電池寿命など短いのが当たり前、と割り切っているのである。
つまるところ、パームサイズCE機にも「割り切り」は存在した。それは「使う側」である。動作は遅いもの、電池は保たないもの、値段は高いもの、という割り切りをすれば、パームサイズCE機が魅力的なものに見えてくる...はず?